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長期優良住宅のメリット・デメリットを実際に計算してみた|得したのは229万円

電卓とノートで長期優良住宅の費用を計算するイラスト 家づくり

長期優良住宅、結局いくら得するのか

注文住宅の打ち合わせで「長期優良住宅の認定を取りますか?」と聞かれて、迷っていませんか。

私も迷いました。 施工会社の担当者は積極的に勧めてこなかったし、「申請に時間がかかる」「費用もかかる」と言われて、正直スルーしかけていたんです。

でも、自分たちで数字を出してみたら結果はこうでした。

項目 金額
得する合計 229万円
申請費 -30万円
純利益 +199万円

しかも着工が1ヶ月遅れる分の金利上昇リスクを加味しても、最低+144万円は残る計算でした。

この記事では、施工会社が説明してくれなかった229万円の内訳と、取得のデメリット、そして自分のケースで計算する手順を公開します。


前提条件

金額は借入額や仕様で変わるので、まず我が家の条件を出しておきます。

項目 条件
借入額 4,500万円
金利タイプ 10年固定
断熱等級 5
耐震等級 3
建てる地域 東北(雪は降るが豪雪地帯ではない)
世帯 夫婦ふたり・子なし
売却予定 なし

ポイントは、もともと断熱等級5・耐震等級3で建てる予定だったことです。

施工会社に確認したところ「追加の仕様変更なしで長期優良住宅の基準はクリアできる」とのことでした。つまり性能を上げるための追加費用はゼロ。この条件だと、判断は「申請するかしないか」だけになります。


長期優良住宅とは(30秒でわかる説明)

耐震性・省エネ性・劣化対策・維持管理のしやすさなど、一定の基準をクリアした家に国が認定を出す制度です。

「長く使える良い家を建てましょう」という国の方針のもとにあり、認定を取ると補助金や税制の優遇が受けられます。

逆に言えば、優遇を受けるために申請の手間と費用、そして認定後の維持義務を引き受ける制度でもあります。


229万円の内訳

得する229万円の内訳はこちらです。

項目 金額 もらえる/効くタイミング
住宅ローン控除の差額(13年分) 136万円 毎年の確定申告・年末調整
みらいエコ住宅補助金(長期優良型) 75万円 着工後の申請
固定資産税の軽減(2年分) 約14万円 入居後の固定資産税
不動産取得税の差額 約3万円 取得時
登録免許税の差額 約1万円 登記時
合計 229万円

一番大きいのは住宅ローン控除の差額(136万円)です。全体の6割を占めます。

ここで注意したいのは、一括でもらえるわけではないこと。住宅ローン控除は13年かけて戻ってくるお金なので、「手元に229万円が入る」というイメージだと実感がずれます。

一方で申請費30万円は先に出ていくので、キャッシュフロー上は最初がマイナスになります。


取得の条件:着工が遅れて、申請費がかかる

長期優良住宅の認定は、着工前に申請が通っている必要があります。ここがスケジュールに効いてきます。

我が家のケース

長期優良なし 長期優良あり(当初説明) 長期優良あり(確定)
着工 10月 12月(2ヶ月遅れ) 11月(1ヶ月遅れ)
引き渡し 3月 5月 4月
申請費 0円 30万円 30万円

最初は「申請に2ヶ月かかるので着工が2ヶ月遅れます」と言われました。

ただ、補助金の申請には「11月上旬に着工できているか」が重要だと後から判明し、施工会社が段取りを調整した結果、最終的に1ヶ月遅れに縮まりました

⚠️ 遅れる期間は「会社の段取り」で変わる

ここは大事なポイントです。

最後まで比較検討していた別の施工会社は、長期優良住宅の取得が標準仕様で、同じスケジュールのまま10月着工が可能でした。

つまり「長期優良住宅を取ると必ず2ヶ月遅れる」わけではなく、その会社が長期優良住宅に慣れているかどうかで変わります。

打ち合わせでは「何ヶ月遅れますか?」だけでなく、「御社は長期優良住宅の取得実績がどのくらいありますか?」まで聞いておくことをおすすめします。


デメリット1:着工が1ヶ月遅れる

金銭面では得でも、生活面の影響は別で考える必要があります。

我が家の場合、引き渡しが3月から4月になることで起きたのはこれです。

  • 引越し繁忙期(3〜4月)と引き渡しが重なる
  • ただし引越しは知人・両親・自分たちで行う予定のため、業者の繁忙期の影響は小さい
  • アパートの更新(6月)まで余裕ができるので、退去のタイミングは合わせやすい
  • 家賃が1ヶ月分多く発生する

家賃1ヶ月分は試算の純利益(199万円)から引いても十分プラスでした。

ただし、賃貸の更新月が引き渡し直後に来る場合は要注意です。更新料が発生すると、1ヶ月の遅れが数万円〜十数万円の追加コストになります。自分の契約更新日を先に確認してください。


デメリット2:10年ごとの点検義務が一生ついてくる

これが見落としがちな最大のデメリットです。

長期優良住宅は「認定を取ったら終わり」ではありません。維持保全計画書という書類を作成し、以下を続ける義務があります。

  • 10年ごとに点検・修繕・記録の保存
  • 義務の主体は所有者(施工会社ではない)
  • 認定を怠ると取り消しリスクがある(補助金の返還義務が生じる可能性も)
  • 将来大規模なリノベーションをするときは計画変更の申請が必要(認定を返上することも可能)

「施工会社がやってくれる」と思いがちですが、動くのは自分たちです。引き渡し後も30年、40年と続きます。

なお、点検業者は施工会社でなくても構いません。住宅診断士(ホームインスペクター)に依頼することもできます。

施工会社の実績が、ここにも効いてくる

維持保全計画書の質や、その後の継続サポートには施工会社の慣れが出るそうです。

長期優良住宅に不慣れな会社だと、計画書が形式的なものになったり、点検の案内が来なかったりする可能性があります。取得を決める前に、「維持保全のサポートはどこまでやってもらえますか」を確認しておくと安心です。


金利上昇リスクを加味しても、結論は変わらなかった

着工が1ヶ月遅れると、その分だけ金利が上がるリスクがあります。「得した229万円が金利で消えるのでは?」という不安です。

試算した結果、金利上昇を織り込んでも最低+144万円は残りました。

つまり、金利リスクで判断がひっくり返ることはないというのが結論です。

ただしこれは借入4,500万・10年固定の場合の数字です。変動金利で借りる場合や、借入額が大きく違う場合は自分で計算し直してください。次の章で手順を書きます。


自分のケースで計算する手順

我が家の229万円はあくまで一例です。借入額・年収・地域・仕様で金額は変わります

自分のケースで計算する手順はこの5ステップです。

① 住宅ローン控除の差額を計算する(一番大きい)

長期優良住宅は借入限度額が優遇されます。この差額が控除額の差になり、13年分を合計すると数十万〜百数十万円の差が出ます。

まず自分の借入額と年収で、認定あり/なしの控除額をそれぞれ出してください。

② 補助金の対象になるか確認する

年度ごとに事業名も金額も変わります。必ず今年度の情報を確認してください。

我が家では、施工会社の担当者が前年度の情報を見て「今年の分はもう終了しています」と説明するという出来事がありました。念のため自分で調べたら、事業名が変わっていただけでまだ受付中でした。

その場で言われたことを鵜呑みにせず、自分で公式情報を確認するのが安全です。

③ 税金の軽減額を出す

  • 固定資産税の軽減期間の延長(我が家は2年分で約14万円)
  • 不動産取得税の控除額の差
  • 登録免許税の税率の差

金額としては小さいですが、合計すると10万円以上になります。

④ コストを引く

  • 申請費(我が家は30万円)
  • 性能を上げるための追加工事費(もともと基準を満たす仕様なら0円
  • 着工が遅れる分の家賃・更新料

⑤ 遅れる期間の金利上昇リスクを見る

着工が遅れる月数分、金利が上がった場合の総返済額の増加を計算します。ここまでやって初めて「本当に得か」が判断できます。


取るべき人・取らなくていい人

計算してみて分かった判断軸をまとめます。

こういう人は「取る」寄り こういう人は「取らない」寄り
もともと高性能な仕様で建てる(追加費用がかからない) 基準を満たすために大きな追加工事が必要
借入額が大きい(住宅ローン控除の差が出やすい) 借入額が小さい・現金比率が高い
着工の遅れを許容できる 入居時期が決まっている(転勤・子どもの入学など)
施工会社が長期優良住宅に慣れている 施工会社に取得実績がほとんどない
長く住む予定 数年での売却・住み替えを想定している
10年ごとの点検を続けられる 書類管理や定期点検の手間を負いたくない

「取ると得か」ではなく「自分の条件で得か」で判断してください。 一番大きい住宅ローン控除の差額は借入額に比例するので、条件が違えば結論も変わります。


よくある質問

Q. 追加費用はどのくらいかかりますか?

申請費として20〜30万円程度が目安です(我が家は30万円)。ただしこれはもともと基準を満たす仕様の場合。基準に届かない仕様から引き上げる場合は、別途工事費がかかります。

Q. 着工はどのくらい遅れますか?

会社によります。 我が家は当初2ヶ月と言われ、調整後1ヶ月になりました。長期優良住宅を標準仕様にしている会社なら、遅れないケースもあります。

Q. 途中でやめられますか?

着工前であれば申請を取り下げることは可能です。ただし着工後に基準を満たさない変更をすると認定が取り消され、補助金の返還が発生する可能性があります。

Q. 認定を取ったあと、放置するとどうなりますか?

10年ごとの点検・記録保存を怠ると、認定の取り消しリスクがあります。取り消されると補助金の返還義務が生じる可能性があるため、「取ったら終わり」ではないと理解しておく必要があります。


まとめ:迷っているなら、まず自分で計算してみる

我が家の結論は「取る」でした。

  • 得する合計 229万円
  • 申請費を引いた純利益 +199万円
  • 金利上昇リスクを加味しても 最低+144万円

ただ一番伝えたいのは金額そのものではありません。

施工会社は、必ずしも試算を出してくれないということです。

我が家の場合、「どのくらいお得になるか」の説明は一切ありませんでした。前年度の補助金情報で「もう終わっています」と言われたこともあります。悪意ではなく、単にその会社が長期優良住宅を得意としていなかっただけだと思います。

でも、調べなければ199万円を捨てていたのは事実です。

家づくりは知識がある人が有利な世界でした。「知らないから聞けない」というジレンマもあります。だからこそ、言われたことを鵜呑みにせず、自分の数字で計算してみてください。


家づくりの相談先を探している方へ

長期優良住宅の取得実績は会社によって大きく差があります。取得を前提にするなら、最初の会社選びの段階で確認しておくのが一番確実です。


家づくりで読んでよかった本

▶︎ 【後悔しない家づくりのすべて】

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